
他競技から競輪へ!どうやって選手になるの?ふ〜こらむ Vol.9
2022.06.26
チーム楽天Kドリームス所属、梅川風子選手によるコラムVol.9をお届けします!今回は自身の経験を元にした「競輪選手になる方法」と「他競技から転向するメリット・デメリット」についてをお届け。
梅川風子プロフィール
短距離種目選手。2017年デビューの東京112期。幼少期からスピードスケートを行なっており、大学時代には全日本学生選手権で優勝した実力の持ち主。
前回(Vol.8)はこちらから
梅川先生の「競輪選手のなり方」講座
梅雨本番でジメジメしてなんだか重たく感じますね。
トレーニングをしていると体が重かったり、「マシンが湿気で重くなってない?」と勘違いする事もしばしばです。。
さて、今回は「どうやって競輪選手になるか」についての方法と「他競技から転向するメリット」について話していこうと思います。
競輪選手になる方法とは?
競輪選手養成所に入るための試験は「技能試験」と「適性試験」がありますが、今回は私の経験をもとに「技能試験を受けるならば」という話をします。
※技能試験は自転車を使ったタイム測定を含む、自転車競技経験者向けの試験。
※適性試験は自転車を使ったタイム測定は行わず、代わりに垂直跳び・長座体前屈・背筋力など「競輪に必要な身体能力」で判断する、自転車競技未経験者向けの試験。
まずは自分が住んでいる県や拠点したい県、これをはっきり決めることから始めます。
例えば自分が住んでいる県が競輪があまり盛んでなかったり、競輪場が近くにない場合、そして知り合いに競輪選手がいない場合は、自分で下調べをして「拠点とする場所」をある程度決めておく必要があります。
私の場合、出身は長野。ですが近くに競輪場はありません。強くなれる環境を求め、最初は愛知と東京で迷いました。
なぜ愛知かというと、愛知の豊橋はガールズケイリン選手になるためのサポートが豊富なんです。住む家の補助やトレーニングのサポートなど、環境の整備がされていてとても魅力的でした。
今もそのプロジェクトは続いていて、沢山のガールズケイリン選手を輩出しています。
当時の私は悩んだ末、東京で選手になる決断をしました。
このように、まずは自分がどこを拠点として選手になりたいかを決めておく必要があります。
ここさえ決まれば、あとはJKA(競輪を統括している団体)に電話をすればトントンと所属支部に連絡を繋いでくれて、後日「会って競輪場を走ってみよう」となります(番号は調べるとすぐ出ます)。
ただ、その時期も大切。女子は例年10月に養成所の技能試験(タイムトライアル)があるので、願書は7月頃に出します。
その7月までには「競輪の自転車でのトレーニングも十分に行なっていたい」と考えると、早ければ早い方がいいわけです(願書には自分の自己ベストタイムを書くので)。
まるでお見合いのような…
初めて競輪の自転車に乗って、すぐうまく走れる人もいればそうでない人もいるように、合格基準タイムが出るまでには個人差がかなりあります。
それまでやっていたスポーツで上手くいってようがそうじゃなかろうが、「自転車を乗りこなせるか」には多少のセンスが出ます。
逆にスポーツと無縁の人でも不思議と乗りこなせることもありますし、できない分は時間をかけて正しく努力すれば、必ず乗りこなせます。
競輪界はコーチと選手のような関係はなく、ほとんどのプロ選手は個人でトレーニングを管理します。
とはいえ、養成所に合格するまでは手取り足取り教えてもらうことは必要なので、競輪界では「師弟制度」を取り入れています(びっくり)。
私の場合は師匠となる選手を、連絡を入れた支部から紹介されました。
まるで、お見合いのようでしたが…(笑)
師匠も沢山の時間を割いて選手になれるように動いてくれますし、練習や道具の使い方、全てに時間を使って動いてくれます。
なんだか悪いなぁ…なんて思うほどです。
師弟なんてなんだか古めかしいですが、良くも悪くもこの師弟制度によって競輪選手は支えられているわけです。
私の例をもとに「競輪選手のなり方」を説明しましたが、十人十色様々な方法で門は開かれています。
でもとにかく、競輪選手になりたいと行動を起こすときは「まず電話」が1番ですね!
他競技からの転向、メリット・デメリット
次に「他競技からの転向するメリットとデメリット」についてです。
様々なスポーツからの転向者がいる競輪界ですが、まずメリットは「トレーニング経験や試合経験を活かせる」点ですね。
これはもう言わずもがななのですが、やはり「試合本番」を経験していると経験していないとでは、レース本番で「全力で走ること」だけでもシンプルに差がでてきます。
レースや試験のとき、最後は自分一人でやり遂げなければなりません。
襲ってくる緊張感や不安、レースまでの栄養の摂り方、天候など、コントロールできないところも含めて「わかっている」事は大きな強みになります。
もちろん選手になってから学んでいく事は多くありますが、転向組はそのアドバンテージが大きいわけです。
デメリットはほぼないと思っていますが、唯一苦労するのは「バイクコントロール」の部分です。
身体の使い方という部分にも関係してきますが、ここは自転車競技経験者との差が大きくあります。
自転車というモノを扱う以上、「いかに自分の身体の一部のように扱えるか」という部分は、私自身も非常に差が出るなぁと感じる部分です。
ですが、これはデメリットではなくトレーニングで埋めていく「差」ですね。
競輪は「色々な味」があるプロスポーツ
老若男女乗ることができる自転車。
シンプルだからこそ奥が深く、親しみも湧きます。
他競技から転向、会社員から挑戦、介護士から挑戦、教師から挑戦、35歳のオールドルーキー……
様々なバックボーンをもつ人たちからなる競輪は、本当に色々な味があっておもしろいプロスポーツです。
迷っているなら是非、電話1本かけてみてください。
そして「賞金稼ぎ」なんて、なんだかカッコいい響きじゃないですか。。。
梅川風子Instagramにて、選手への質問を募集中です!
@umekawafuko