2024世界選手権トラック バレラップ 女子ケイリン 梅川風子

発表はいつも突然に……/ふ〜こらむ vol.63

2024.11.10

チーム楽天Kドリームス所属、梅川風子選手によるコラムVol.63をお届けします。
今回は、梅川選手から大切なお知らせです。

梅川風子プロフィール

元・全日本学生選手権優勝のスピードスケーター。競輪選手と自転車競技選手の二足のわらじを履きながら、世界の舞台で戦う。

2024ジャパントラックカップ 女子スプリント 梅川風子

前回(Vol.62)はこちらから

発表はいつも突然に……

世界選手権がおわって2週間くらい経ちました。

2024世界選手権トラック バレラップ 女子ケイリン 梅川風子

突然ですが、私は今回の世界選手権をもって自転車競技からは引退します。
発表はいつも突然に……ということで、自転車競技はこれで一区切り。

これからは競輪一本の道に戻ることにしました。

競技から引退する理由はひとつではなく沢山あります。
ひとつひとつ述べてると日が暮れそうなのですが、退く理由の一つに「命を削るようなこの舞台にもう挑めそうにない」と力尽きたような感覚があります。

世界を知り、自分を成長させたかった

「ただ速くなりたい」
「もっと強くなりたい」

そんな目的で自転車競技に挑戦しました。

梅川風子, Women's Sprint, TISSOT UCI TRACK CYCLING NATIONS CUP - HONG KONG

2021年ネーションズカップ第2戦(香港) スプリント

世界に挑戦できる環境がすぐそこにあるのに、挑戦しない理由を探す方が大変でした。
ですが、自転車競技はやはりお金がかかります。競輪で走って勝って稼ぐことで自分自身をスポンサードしているような感じで、競輪をしていなければ挑戦する事はできませんでした。

競技への挑戦によって競輪を走る機会が減り、収入も減る。
「どうしてそこまでして挑戦するの?」と聞かれることもあります。

ガールズグランプリ2023 前検 梅川風子

何度も言いますが、競輪というものがなければ競技に挑戦できなかったのは私の中で事実です。
一時的に稼ぐ事は難しくなっても、世界に挑戦することは、自分の視野や自分が閉じこもってる世界を広げる素晴らしいチャンスだと思いました。

「世界を見る」という自己満足だけで終わるのではなく、スポーツ選手としてその経験を、厚みを生かすことができればその選択は間違ってなかったと言える、そんな選択をしたかったという思いもあります。

非常に抽象的な言い方ですが、世界を知り、ちっぽけな自分を成長させたかったのだと思います。

2023アジア選手権トラック 女子スプリント 梅川風子

2023年 アジア選手権トラック スプリント

世界すんごい!世界びっくり!

世界の舞台では、全く歯が立たず打ちのめされることも多くありました。世界はこんなに強く、速いのかと衝撃を受けてばかりでした。

結果を出せない時間の方が長かった中で「何が楽しいの?」と自問自答する日もありましたが、ネーションズカップや世界選手権に来るたびに思いました。

2024ネーションズカップ第2戦 女子スプリント 梅川風子

2024ネーションズカップ第2戦

「世界すんごい!世界びっくり!」って(笑)

なにがびっくりとか、なにがすごいってのは今までのコラムを読んでもらうこととして(笑)。

視野を広げるためにはじめた競技でしたが、とても価値のある世界に飛び込んでいるんだと思いました。
ファイナルの舞台にあがることやメダルを獲得することは小さな成功にすぎません。

梅川風子, 女子ケイリン表彰台, WOMEN'S Keirin Podium, 2023トラックネーションズカップ ジャカルタ, 2023 TRACK NATIONS CUP Jakarta, Indonesia

2023トラックネーションズカップ ジャカルタ

そこに到達するまで試行錯誤した時間や、頭と体をフルで使い何レースも走る「苦しい楽しさ」は、挑戦した意味を大きく示してくれる素晴らしい時間でした。

失敗・成功は自分で決めて良い

世界中の速い人たちが集まる最高峰の世界で戦うことで、例え私のようにオリンピックに出ることが叶わなくても貴重な経験を得られるし、悔しい事は糧にできる。沢山の学びを与えてくれました。

2024世界選手権トラック バレラップ 女子ケイリン 梅川風子

4年に一度のオリンピックがメインとなる競技ではありますが、一歩ずつ一歩ずつ、一年一年しっかり積み重ねた先に、オリンピックがフッと現れてくれるようなものだと思います。

「はい!次の4年先のオリンピックに向けて頑張ります!」と言うことや聞くことって、難しすぎる未来予想図です(笑)。
私にとっては目の前にある課題に取組む充実感も、たまらなく良い時間でした。

オリンピックに届かなくても、私はその後の世界選手権で素晴らしい経験をすることができましたし、もしかしたら今後また競輪というスポーツの中でそんな素晴らしい瞬間に出会えるかもしれません。

2024世界選手権トラック バレラップ 女子ケイリン 梅川風子

2024世界選手権トラック バレラップ 女子ケイリン決勝

何が失敗で何が成功かは自分自身で決めて良いのだと断言します。
失敗と思っていたことが成功に繋がることなんてしょっちゅうです!

苦しみ抜いて辞めるという選択を私も以前していたスケートでやってきた経験があるので、そんな方へ少しでもエールとなったらいいな!なんておこがましくも小さな声でエールを送ります。

コラムはもう少し続きます!

寿命が縮むような世界選手権のレースが終わって2週間も経つと、そろそろいい思い出だけが残るかな?と思うんですけど、全っ然そんなこともなく……。

お休みの時間は無常にも過ぎて、もう立川開催走るんですよね!
これが競輪選手の宿命です。

ここまで自転車競技、競輪を応援してくださった方々、本当にありがとうございました!
とはいえ私の競輪人生はまだ続きそうなので競輪場で元気にお会いしましょう!

2024ジャパントラックカップ 女子スプリント 梅川風子

コラムはもう少し続くかも?笑
ではまた次回〜!

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@umekawafuko

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