古山稀絵

ネーションズカップを終えて「補欠であっても最高の状態で迎えたい」古山稀絵インタビュー

2021.06.24

日本で唯一のトラック中長距離日本代表・UCIトラックチーム所属(チーム楽天Kドリームス)・現役大学院生として、3足の草鞋を履きながら活動する古山稀絵(チーム楽天Kドリームス)。

2021年5月中旬に行われたネーションズカップ香港大会では個人パシュート銀メダル、マディソン銅メダルを獲得。大会から帰国し、感染拡大防止のための隔離期間中、オンラインでインタビューを行った。

Q:大会お疲れ様でした。帰国してからどうですか?

2週間外出禁止で隔離されています。鬱になりそうですよ(笑)。外に全く出られない日々もあと2日です。チームスタッフが色々届けてくれる話もあったんですが、男子と女子でも住んでる場所が離れているのでそれも難しく、買い物もできずにいます。

Q:遠征中も監視など厳しかったようですが、どんな状況だったのでしょうか?

部屋の外に全く出れなかったです。調整など練習自体はオフィシャルのトレーニングの時のみで、あとはずーっと室内。YouTubeを観ながらヨガやストレッチをしてみたり、レース前はレース映像を観てモチベーションを保っていました。

あとは大学院の課題をやってました。修士論文が終わらなくてヤバイです。新型コロナ禍での国際レースは初めてで、移動の全てに制限がありました。

Q:修士論文は大丈夫そうですか?

全く終わらないです。中間発表に間に合えば良いんですけど、中間発表が世界選手権前なので、終わるかどうか・・・。先生と相談しながらやってますが、もう急ピッチですね。

でも論文の内容は選手である自分自身を被験者としていて、これまでのデータを分析するのでどの様に今後に活かせるか楽しみです。

Q:今回の遠征では、出国から帰国まで、一通り終えるまでに何回PCR検査をしましたか?

めっちゃやりましたよ!遠征前、空港、現地の空港に着いてから、そのあと夜、ホテル行く前、その次の日・・・・12回ですね。

Q:鼻に突っ込むやつですか?

そうです。ウェってなるやつ(笑)優しくする人と奥までグサって人もいて。帰国するときに空港でやった人が荒くて、みんな鼻貫通したんじゃないかってくらい。

Q:帰国してから何か変わった事は?

新型コロナの影響で、何もできないですね。家族や後輩から祝福されました。いつもなら祝福会してくれたりするんですけど・・・しょうがないですね。

あ、でも大会から賞金もらえたのが実は一番嬉しいです。換金したとき「メダルを獲ったんだな〜」って実感がありました。

Q:使い道は?

財布入れたら全部使っちゃうので、今はひとまず封筒に入れて、へそくりにしてます。以前買ったヨギボー(ビーズクッション)の分が帰ってきたので、良しって感じです。

メダルは嬉しいけど・・・

Q:では、レースに関する質問です。個人パシュートでメダルを獲得したことは、古山選手にとってどうでしたか?

素直に、メダルを持ち帰るのは嬉しいです・・・が、今回の大会は小規模で世界選手権などと比べるとレベルも高いものではありません。結果よりも自己ベストを更新すること目標でした。メダルは嬉しいけど、記録や走りに対しては満足いかない。悔しい部分もあります。

古山稀絵

以前からHPCJCの橋本(直)さんとデータ分析をしていて、「これくらいの条件なら良いタイムも出せる」と準備してたんですよ。

今、中長距離チームのトレーニングではゲーム系のレースにフォーカスしていて、TT(タイムトライアル)はできる範囲で進めていました。「このペース配分で、このギアで、このタイムなら確実にタイムを出せる」とデータ的に出ていたにも関わらず、タイムが出せなかった。悔しいです。

Q:予選から決勝でタイムが落ちた理由は?

予選から決勝でギアを1枚あげたんですよね。

あと個人パシュートの練習は普段6周までしかやってなくて、それ以降はやってなかったんです。練習出来ていなかった面が出たのかなと思います。単純に後半の体力不足が要因です。

自己ベストは全日本の333mバンクで3分40秒。今回は250mだから、もっと良いタイムの30秒台は出せると思っていました。

Q:個人パシュートで優勝したハンナ・ツェラク選手(ベラルーシ)は、過去に女子ワールドツアーでロードレースを走った経歴もあります。トラックのトレーニングはもちろんですが、強くなるためにロードはどれくらい重要ですか?

そうですね。凄く大事です!大学院生になって沢山の論文に触れるようになって、「ロードがトラックに効果がある」という科学的根拠も沢山目にしました。

実際に世界のトップを見てみると、フィリポ・ガンナ(イタリア)はロードレースも走れてタイムトライアルも強い。女子のクロエ・ダイガード(アメリカ)もそうです。そういうトップの選手たちを見ていると、ロードトレーニングは必要で、さらに質を上げていく必要があると感じます。

体力のベースを上げるのはもちろん、どこを強くしたいと思っても、ロードトレーニングがベースになります。トラック中長距離のレースではインターバル(全速力と少し緩めた走りを繰り返し行うこと)が続きますが、ロードではそれに近い練習もできるので、その点も活かせます。

だからこそ、みんなやっていますね。何かしらの理由があるのは間違いないです。クレイグ(・グリフィン)コーチも「ロードレースにはバンバン出ろ」と言っていますし、出させるとも言っていました。

なのでロードレースを走る機会も増えるはずです。「これからロードレースの強い選手をトラックに引き抜いていきたい」とも言ってました。今後、ロードとトラックが密接になっていくのかなと思います。

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パリは自分たちにとって一番良い時期

Q:次は女子マディソンについてお聞かせください。序盤、ベラルーシに先制されてから中盤巻き返しましたが、それは作戦の内でした?

そうですね。でも、出場チームは4チームと少なかったので、必ずポイントは取れました。1つでも上の順位を取りに行くために、良い位置でパスをして、奈央(鈴木)さんにスプリントさせるのが作戦でした。

ベラルーシはスプリンター寄りではなかったため、どこかで逃げを作るだろうと予測し「いつ仕掛けてくるんだろう」と思いながら走ってました。オリンピック代表の梶原悠未・中村妃智ペアが有力だったので、「彼女らを見ておけば良い位置にいけるのかな」とも考えていました。

古山稀絵

Q:終盤の逆転については?

途中交代ミスしてしまって、集団から遅れてしまいました。追い付いたタイミングでベラルーシとスペインに行かれてしまって、それをさばく体力がなかったです。

ベラルーシもスペインも「スプリントより逃げる」系のタイプだったのはわかっていたんですが、上手くやられてしまいました。

Q:今回のレースの反省点は?

交代ミスは防げたミスでした。このたった1回のミスが大きく感じましたね。今回位は少人数レースでしたが、少人数だからこそ、ちょっとのことが大きなミスになってしまう。

世界選手権のような大きな大会ならもっと選手数も多いし、強い選手も多いです。どのタイミングで行くかを見極められるようになろう、という反省をしました。

Q:オランダやイギリスなど強豪国は不在でしたが、今後パリオリンピックに向けて戦っていく同世代の選手たちだったと思います。今回出場して感じた手応えは?

今までは自分たちが下にいて、年上と戦うことがありました。去年の世界選手権以降、オムニアムなどでは同世代が表彰台に乗っていて。世代交代を感じています。2024年のパリオリンピックは年齢的にも一番良い時期で、選手としてピークの状態でのオリンピック。そこに向けて世界で活躍できるようにしていきたいです。

Q:東京オリンピックも目の前。補欠で代表ではありますが、心境的にはどうですか?

オリンピックの補欠であっても、最高の状態で迎えたい。クレイグを信じているので、言われたことを毎日全力でやっていれば力はつきます。あまりピリピリしてはいないですし、毎日トレーニングをこなしていくだけです。

Q:次のレース予定は?

全日本ロードとTTだったんですけど・・・やっぱり新型コロナの影響でなくなるかも。そうなると次はもう補欠のオリンピック、そのあとは全日本トラックという感じですね。

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