ネーションズカップ直前!梅川先生のチームスプリント講座 ふ〜こらむ Vol.6
2022.05.08
チーム楽天Kドリームス所属、梅川風子選手によるコラムVol.6をお届けします!今回は間近に迫ったネーションズカップに向けて、チームスプリントについて語っていただきました。梅川先生によるチームスプリント講座、必見です!
梅川風子プロフィール

短距離種目選手。2017年デビューの東京112期。幼少期からスピードスケートを行なっており、大学時代には全日本学生選手権で優勝した実力の持ち主。
前回(Vol.5)はこちらから
解説!チームスプリント

皆さんお疲れ様です。
今日はネーションズカップも近づいてきたので
私の出場種目「チームスプリント」の概要と、その謎について暴いていきます。
チームスプリントは3人が隊列を組んで3周のタイムを競う種目。
1人1周走り、ロケットペン方式でどんどん抜けていき、3周目の3人目がゴールしたタイムで競うチーム競技です。
私は世界選手権から第1走者を任されています。
3人の仕事を具体的に表すと、だいたいこんな感じ。
第1走:トップスピードを素早く立ちあげてチームのMAXスピードを引き出す位置
第2走:チームで1番のトップスピード自慢の位置。1走と交代するときには1番スピードを乗せて二周目に突入する位置
第3走:トップスピードをいかに最後まで落とさず走り切るか、乳酸と我慢の位置
1人でもその能力やパフォーマンスが欠けると成り立たなくなってしまう種目でもあります。
あの車間、大丈夫なの?

見てる側はこんなことを思うかもしれません。
「スタート直後、1走と2走の間に大きな車間が開いている。あれ大丈夫?」
この車間はわざと空けられているもので、2走の人はこの車間を一気に詰め、交代の瞬間にはゴリッゴリのトップスピードに持っていく算段なのです。
仮に……
2走の選手がスタートからぴったり1走の選手について行った場合、タイムは出にくいです。
例え1走の選手がめちゃめちゃ速い選手でも、1走の選手はギヤを軽く設定しているため、半周をすぎたあたりからもう加速はしていません。
逆に2走の選手以降は、ギヤを重くしているためどんどん加速できます。
つまり、1走の選手にぴたりとついていって「風の抵抗を受けない」というメリットよりも、
1走の選手の「スリップストリーム現象(追いかける者は吸い込まれる現象)」を使い、トップスピードに乗せるメリットの方が大きいと言うわけなのです!
鍵となるのは「スリップストリーム現象」

スリップストリーム現象は自転車では鍵となる現象で、この現象を利用してスピードを上げると非常に効率よくスピードがでます。
「スリップストリーム」とは、高速で動いている物体のすぐ後ろに空気圧の低い領域ができる現象のことをいいます。 その領域では、空気の渦によって、後続車が前走車に引き寄せられる様な力が働いているため、前走車の直後を走ることで空気抵抗を少なくし、移動のためのエネルギー損失を抑え、エネルギーを温存することができるのです。(web参照)
競輪でもよく車間を切っている選手がいますよね。
競輪もチームスプリントも同様、この車間にある空気圧が少ないところを目がけて加速すると、吸い込まれるように更に加速していくことができるというカラクリなのです!
1走を走る身としては、「いかに2走選手に一生懸命追いかけさせることができるか」が勝負の鍵です。
1走がチンタラ走っていたらただの邪魔になってしまいますからね。。。
スタートゲート攻略法

スタートのゲート、アレもなかなかの強者です。
日本の競輪の発走機は、号砲担当の人が引金を引けばロックが解除され、自転車が出ることができます。
ただあの掛け声、かなり適当なんです。
なので選手も割と適当な勘ででます。
号砲は「よーい、バンっ」と鳴りますが、
「よ」の時点で引き金はほとんどの場合引かれているので、「よ」で皆出ていますね(笑)

でも競技はそんなわけにはいきません。
チームスプリントの際、カウントダウンの機械と連動して、カウントがゼロになった瞬間スタートゲートが開きます。
なのでほんの少しでもフライングしてしまうと、ゲートは開いていないので、その状態で踏み込んだら後輪がスリップしてしまうか、後ろに引っ張られるような感覚のまま出て行くことになってしまいタイムはもう壊滅的。
もしもスタートでそんなミスがあれば、すぐに手を上げれば再発走可能です。
ただし再発走は2回まで。
なので、カウントダウンでピタリと出れるよう、タイミングを体に染み込ませるトレーニングしているわけです。
シンプルかつ簡単な様ですが、0.01秒を争う世界ではこのスタートカウントダウンを合わせる作業も第一に重要なわけですね!
ちなみに、2走者と3走者はスタートゲートではなく、手持ちスタートですね。
なぜかはわかりませんが。笑
チームスプリントは5月12日実施

そんなチームスプリントは5/12の初日スタートです!
表彰台に乗って華々しく結果を残せたら最高かもしれませんが、まだそれは先の話です。
本番の舞台で淡々と自分のしてきた事を表現できたら最高だと思います。
結果はまだまだこれから先のものと信じて、今できる全力の走りをしてきたいと思います!



