main

「スプリント」の本当の名前を知っていますか?/ふ〜こらむ vol.59

2024.09.15

チーム楽天Kドリームス所属、梅川風子選手によるコラムVol.59をお届けします。
全日本選手権トラックに出場した梅川選手。「あの競技」に関する疑問を語っていただきました。

梅川風子プロフィール

元・全日本学生選手権優勝のスピードスケーター。競輪選手と自転車競技選手の二足のわらじを履きながら、世界の舞台で戦う。

2024ジャパントラックカップ 女子ケイリン 梅川風子

前回(Vol.58)はこちらから

全トラ、ありがとうございました!

まずは全日本選手権トラックが終わり、会場にきてくださった方、YouTube中継みてくれた方、ありがとうございました!
スプリントは2位でケイリンは1位。

梅川風子, 女子エリート, ケイリン, 2024全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

ケイリンは勝つ事ができましたが……ちょっと物足りなかったですよねサトミナいないし!
サトミナいないから勝って当たり前と思う方も観ている方の中ではもしかしたらいると思いますが…次の世代がめちゃめちゃ強くなってきてます!
伸び代ばっかりの若い子がたくさんでてきておりますので、私も強くならないと!

スプリントの日は、なっっがい!

さてケイリンはいいとして、スプリントのお話です。
スプリントの日は朝8:30ごろ家を出て、レースが終わったのが19:00。
それからドーピング検査を受けて、ケアをして帰ったら21:00。
なっっが!

スプリントは本当に1日が長い。
今回はたった5本だけですみましたが、多いと10本以上となる事もあります。

スプリントにまつわる2つの疑問

レース後の後出しで申し訳ないですが、今回のコラムでは、ちょっと難しいスプリントをできるだけシンプルにまとめてみました。
前にもコラムに書いたことがあるのですが(vol34)、わりと難しい競技だと思いますので是非参考になれば嬉しい限りです。

まず「スプリント」という名はついていますが、この競技の本当の名は「キングオブ体力スプリンターを決める種目」なのであります。

梅川風子, ガールズグランプリ2023, 前検, KEIRINグランプリ2023, 立川競輪場

よくいただく質問は以下の2つ。
結論からご紹介します。

①「どうして対戦のとき最初から全力でいかないの?」

→結論、もちろん全力で行ってもいいんです!

②あのゆっくり走ってる時間なんなの?

→結論、死ぬほど駆け引き中です!

「どうして対戦のとき最初から全力でいかないの?」

笛が鳴った瞬間から全力で3周(750m)いってもいいんです。そういう作戦で勝つ人もいます。
ただ、ほぼ助走がない状態で、ものすごい重たいギヤで全力750m。
脚はめちゃくちゃ乳酸で痛く、のたうち回ることになるでしょう……。

男子エリート, 1kmTT, 2024全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

その10〜20分後、次の対戦でもう一回走るってなったら、足はパンパンで息も整わないわけです。
その一本だけならそんな勝ち方もアリかもしれませんが、スプリントは一日中何本も走って「キングオブ体力スプリンター」を決めるレース種目。
いわゆる本当のスプリンターというだけでは勝つことはできません。

梅川風子, 女子エリート, スプリント, 2024全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

スプリンターであり、エンデュランス(中距離選手)のような体力もあり、駆け引きもできる選手でなければならない。

シンプルな名に反して、必要な要素が多すぎやんけというのがスプリントなのであります。

ゆっくり走ってる時間なんなの?

以前も書きましたが、そこに付け加えると、あのゆっくり走ってる時間も、つね相手が不利になるように考えて走っています。

佐藤水菜, 梅川風子, 女子エリート, スプリント, 2024全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

相手にいつダッシュされるか警戒している=こちらもいつでもダッシュする構えなので、脚に緊張をかけながら走っています。
そして前でも後ろでも、主導権というのは必ずどちらかが握っています。

前の人がコントロールしてると思いきや、後ろの人に動かされてる事もありますし、前の人が後ろの人を踏ませている場合なんてのもあって奥が深いのであります(ここまでくるとコアすぎる)。

じつは予選が運命を分けます

スプリントの流れとしては

朝イチで200mタイムトライアル(予選)→1対1の対戦

です。

梅川風子, 女子エリート, スプリント, 2024全日本選手権トラック, 伊豆ベロドローム

タイムトライアルでシンプルに速さを競い、その順位で対戦相手が決まる。つまり、これが運命を分けます。
タイムトライアルの大体30分後くらいから、1対1の対戦がスタートします。

1/32決勝、1/16決勝、1/8決勝、1/4決勝、1/2決勝、決勝という流れで、1/8までは一本勝負。負けたら終わり。
1/4決勝からは必ず2本(インとアウト)を走り、連勝できなかった場合は3本目という地獄もあります。

例えば1/8決勝なら

1位 対 8位
2位 対 7位
3位 対 6位
4位 対 5位

という感じで対戦相手が決まる仕組み。

まず1位通過の方、ご覧の通り圧倒的に有利。
4位と5位だとほぼタイム差がない事になります。

大先輩・深谷知広の金言

ナショナルチームに入りたての頃、深谷知広さんに

「スプリントにおいて相手とのタイム差が0.2秒以内であればタイムが劣っていても勝ち目は十分あるが、それ以上となるとラッキーパンチ程度の奇襲(それこそ3周マックスでいくとか)でないと勝ち目は薄くなる」

という話をしてもらったことがあります。

深谷知広, 男子1kmTT, 2022全日本選手権トラック

私もそれはひしひしと感じていて、0.3秒以上で自分がタイムで劣ると、勝つのがグンと難しくなる印象はあるのは事実。
もちろん、諦める事は決してありませんが。

目の前のレース相手に勝たなければ、その場で去らなければいけない。でも、勝ち進んだ先のために体力ゲージを残しておかなければならない。
そんな難しさが、ゆっっくり始まる最初の駆け引きに込められているわけです。

分かりやすいような、分かりにくいような

あれれ……
なんかどう説明しても分かりやすいような、分かりにくいような……

とりあえずスプリントってのは速さ×体力の勝負なんだと分かっていただけたら幸いです。(急に投げやり)

というわけで長々と失礼いたしました!

私はガールズケイリンで平塚ナイター開催を走っておりますので是非車券買って遊んでくださーい!
よろしくお願いします!

———

選手への質問、応援メッセージはこちらからどうぞ!
梅川風子Instagram↓

@umekawafuko

———

過去のレース結果は特設ページでチェック↓

road to PARIS

NEWS

COLUMN